Semi-long Communication:姿無きHTML文書

(published: May. 11, 2001)


我々ウルトラマークアップ隊は、 地球上の文書をマークアップする為に結成された組織である。 今日の我々の使命は、港に出没するという謎の文書のマークアップである。


「それにしても隊長、この辺りは本当に人気がありませんね」

「油断するな、どこに文書が隠れているか分からないからな」

「そうはいっても、それらしき反応はさっぱり…うわっ!」

「隊員A!大丈夫か!!」

「ええ、いきなり後ろから襲われて…まさか今のが?」

「そうだ、今のは間違い無く文書の仕業…んっ!何だあの怪しい声は!!」

<title>姿無きHTML文書</title>
<p>
ハッハッハッ、俺はここだ!
</p>
<p>
お前達に見つけられるかな?
</p>

「くそっ、何て挑発的な…!」

「隊長!どうやらあれはHTML文書の様ですよ! 姿形は分かりませんが…」

「一応基本的なマークアップはされている様だな。 よし、あの武器を使うぞ! 隊員B!Hの武器ケースを用意するんだ!」

「了解!」スチャッ

「こっ、これは!bodyタグとheadタグ、そしてhtmlタグじゃありませんか!」

「そうだ、これで奴の姿を見破るんだ。」

「使い方を教えてください」

「よし、まず文書本体をbodyタグで明示するんだ」

「やってみます」ドシュッ

<title>姿無きHTML文書</title>
<body>
 <p>
  なかなかやるな!
 </p>
 <p>
  だがまだまだ負けた訳ではないぞ!
 </p>
</body>

「次に残りの付加情報の部分をheadタグで明示するんだ」

「ということはここではタイトル要素の部分ですね。了解!」ドシュッ

<head>
 <title>姿無きHTML文書</title>
</head>
<body>
 <p>
  くそっ、タイトルを見破るとは…!
 </p>
 <p>
  だがここでお前達も終わりだ!
 </p>
</body>

「隊長!物凄い勢いで襲いかかってきています!!」

「慌てるな!最後に文書全体をhtmlタグで明示するんだ! これで奴は姿を現す!!」

「了解!」ドシュッ

<html>
 <head>
  <title>姿無きHTML文書</title>
 </head>
 <body>
  <p>
   しまったーーっ!
  </p>
  <p>
   姿が丸見えになってしまったーーっ!!
  </p>
 </body>
</html>

「やりました隊長! これではっきりとHTML文書が見える様になりました!」

「よし、よくやった! ところでこのHTML文書は日本語で書かれているな。 折角だからlang属性を使って使用言語を明示してやろう!」ビシュッ

<html lang="ja">
 <head>
  <title>姿無きHTML文書</title>
 </head>
 <body>
  <p>
   しまったーーっ!
  </p>
  <p>
   使用言語が明示されたときが俺の命が尽きるときだーーっ!!
  </p>
 </body>
</html>

バクハツーン

「いきなり爆発するとは予想外だったな」

「ええ、でもこれで文書で使われている言語が分かりやすくなりましたね」

「これで平和が近づけば良いのですが」

「さぁ、引き上げるぞ。隊員A、隊員B、転ぶなよ」


こうして我々は、無事使命を果たすことに成功した。 だが地球はまだ多くの文書で満ち溢れている。 文書ある限り、我々ウルトラマークアップ隊の戦いは続くのだ…!

つづく



H-man AND NOW
作:Nishino Tatami (ainosato@vc-net.ne.jp)