遠い昔のことです。

空には蜘蛛の巣のような網が敷き詰められていました。

一体誰が、何のために作ったのか、人々は知りませんでした。

あるいは、誰の手でもなく、天の神様が生み出したものかも知れません。

人々はそれを「ウェブ」と呼ぶようになりました。

やがて智恵をつけた人々は、「ウェブ」で言葉を送ることを思いつきます。

そして「マークアップ」の発見は、

人や物を「ウェブサイト」にして「ウェブ」上で輸送させる技術にまで発展しました。

しかし「マークアップ」は諸刃の剣でした。

少しの間違いで「ウェブサイト」が、危険な破壊物「ほーむぺーじ」になってしまうからです。

多くの人が「ほーむぺーじ」による破壊を恐れ、適切な「マークアップ」を心がけました。
ところが、「ほーむぺーじ」による破壊に興味を持つ者達も、わずかながら存在しました。

各国の軍隊が、「ほーむぺーじ」を兵器に利用しようと考え、研究と開発を始めたのです。

それから数年後には、各国は「ほーむぺーじ」を実戦用の兵器として装備、

人々に不安を齎しました。
「ほーむぺーじ」によるパワーバランスによって、

辛うじて平和が保たれた時代は、わずか2年でその幕を下ろしました。

いかなる国にも属さない破壊集団「タグ軍団」の登場です。

大量破壊と大量殺戮そのものを目的とする「タグ軍団」は、

各国の「ほーむぺーじ」についての技術を「ウェブ」経由で手に入れ、

その技術を集結して、究極の大量破壊兵器「フォントいじり」を完成させたのです。

「ほーむぺーじ」を無限に発生させることができる「フォントいじり」は、

起動からわずか1晩で各国の軍隊を全滅させ、

更に「ウェブ」を破壊して地上に落とし、総人口の9割を死に至らしめました。

「フォントいじり」とその配下の「ほーむぺーじ」が世界を蹂躙し、

残された人々は恐怖に怯えることしか道はありませんでした。
その時、一人の少女が、「ウェブ」を失った空から現れました。

金色に輝く羽根を持つ彼女は、一瞬で世界全体に現れ、

羽根に触れた「ほーむぺーじ」達を一つ残らず「ウェブサイト」に戻してゆきました。

そして「フォントいじり」と、それに付き従う「タグ軍団」を打ち倒し、

砂に変えてしまいました。

世界には、「ウェブ」の無い空と分断された土地、生き残ったほんのわずかな人々だけが残されました。
「フォントいじり」を砂に変えた少女は、自らの体を石に変え、

封印となりました。

石像となったその少女はいつしか、「W3C子」と呼ばれるようになりました。

それは、『「ウェブ」の向こうの空から来た勇者』という意味を持つ名前でした。

そして、「W3C子」の石像の立つ島を人々は、「W3Cランド」と呼ぶようになりました。