( published: Feb. 3, 2004 / updated: Feb. 12, 2004 )
クロデスは、クロスワードの盤面作りから発祥したゲームです。従って、出来るだけ長いターン数を使い、可能な限り「詰んだ」盤面を作らないように、盤面の完成を目指してゆくというのが、プレイの理想といえるでしょう。
しかし、ルールの裏を突いてゆくと、ほんの数ターンで何処にも単語を置けない「詰んだ」盤面が出来てしまうという「不具合」が存在します。
あ い う え お か き く ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬ A│ゴ│ー│ル│キ│ー│パ│ー|■│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ B│リ│■│ビ│カ│■│イ│■│ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ C│ラ│ │ー│ガ│ │プ│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ D│■│ │■│ク│ │■│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ E│ │ │ │■│ │ │ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ 盤面1: 「ゴールキーパー問題」の例。
例えば盤面1では、 スタート時にAあX ゴールキーパーが入った後、
と続いた結果、「ラ○ーガ○プ○」(○には長音促音以外の任意の一文字)で始まる7文字、またはそれ以上の単語をいれる以外にゲームを続ける手段が無くなってしまいます。
この「不具合」を本文書では、例に使われた単語を使って「ゴールキーパー問題」と呼んでいます。
この「詰め方」を知っている人が多数集まった場合、ゲームそのものが破綻する恐れがあります。特に、参加者全員がこの「詰め方」を忠実に実行した場合、5手目で全員落ちてしまい、ゲームにならなくなってしまいます。
実際のプレイでは、ここまで露骨な「詰め」は滅多に起こらないのですが、もしこういった事態が頻繁に起こる場合は、何らかの対策が必要になってきます。
対策の一つとして、書き込める単語を3文字以上から5文字以上にするというものが考えられます。
あ い う え お か き く ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬ A│ゴ│ー│ル│キ│ー│パ│ー|■│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ B│ー│■│ネ│ツ│■│イ|■│ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ C│ル│ │サ│プ│ │ロ│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ D│イ│ |ン│ウ│ │ツ│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ E│ン│■|ス│リ│ │ト│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ F│■│ │■│バ│ │■│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ G│ │ │ │■│ │ │ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ 盤面2: 5文字縛りでのプレイ例
盤面2では、AあX ゴールキーパーの後、
と続きましたが、まだDかX、EかXなどに単語を入れる余裕があります。「5文字縛り」によって盤面がより広がるようになり、単語を入れるゆとりが増える様です。
実際には最初から最後まで5文字縛りで続けるのは困難なため、最初の数ターン、あるいは誰かが一人脱落するまでは5文字縛りで、それから先は通常通り3文字縛りでゆくというのが現実的でしょう。
実は「4文字縛り」では、促音長音に関する特別ルールを利用した、簡単な「詰め方」が存在します。
あ い う え お か き く ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬ A│ゴ│ー│ル│キ│ー│パ│ー|■│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ B│ウ│■│ネ│ン│■│イ|■│ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ C│カ│ │サ│ギ│ │ロ│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ D│イ│ │ン│ヨ│ │ン│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ E│■│ │ス│■│ │■│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ F│ │ │■│ │ │ │ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ 盤面3: 4文字縛りでプレイした例。
盤面3では、AあX ゴールキーパーの後、
と続けましたが、Dかに入っている文字が「ン」な為、そこから単語を始めることが出来ません。結局CあXか、DあXにしか単語を入れる場所が無く、「詰んで」しまうのです。
「5文字縛り」は参加者がある程度熟練していれば、かなりの効果が期待できます。しかし初心者には時間内に単語が思い浮かばなかったり、長音促音ルールに引っかかったりと、困難な面が増えるだけなのが難点です。
やはり基本ルールはそのまま、初期配置に制限を設けるのが一番公平の様です。
これは考えられる案の中で最も厳しいものです。
あ い う え お か き く け こ さ ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐ A│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │A ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ B│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │B ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ C│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │C ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ D│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │D ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ E│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │E ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ F│ │■│ゴ│ー│ル│キ│ー│パ│ー│■│ │F ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ G│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │G ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ H│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │H ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ I│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │I ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ J│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │J ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ K│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │K └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ あ い う え お か き く け こ さ 盤面4: 予め単語を入れた盤面の例
例えば盤面4の様に、FうX ゴールキーパーを入れることを、予め全員で約束しておきます。これなら全員が平等な条件でプレイを始めることが出来ます。
これは案1よりは少し甘い条件です。入れる単語は参加者それぞれが決めて良い代わりに、位置を中央の列に制限するのです。これなら黒マスは高々2ツしか発生せず、開始から数ターンでの手詰まりを防ぐことができます。
案2では単語の配置は中央の列に制限されていましたが、案3ではもうすこし甘くして、「A列とあ列に単語を入れてはならない」としています。文字または黒マスがA列あるいはあ列に一つ入るだけという配置は認められる点に注意して下さい。
あ い う え お か き く ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬ A│ │ │ │ │ │ │ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ B│ゴ│ー│ル│キ│ー│パ│ー│■│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ C│ │ │ │ │ │ │ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ D│ │ │ │ │ │ │ │ │ 盤面5: 案3で許される配置の例。
例えば盤面5の様に、BあX ゴールキーパーという配置は認められます。あ列に文字が一つ入っているだけで、単語の列が入っているわけではないからです。
「黒マスが3個以上発生する場所に単語を置いてはいけない」という、少しテクニカルな案です。端に置かなければ発生する黒マスは高々2ツしか発生しないという点に目をつけたものです。
あ い う え お か き く ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬ A│フ│レ│ア│ス│カ│ー│ト│■│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ B│ │ │ │ │ │■│ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ C│ │ │ | │ │ │ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ 盤面6: 案4で許される配置の例。
端に置いた場合でも、盤面6の場合は、黒マスはAくとBかの2箇所だけなので、案4のルールでも認められます。
あ い う え お か き く ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬ A│ゴ│ー│ル│キ│ー│パ│ー|■│ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ B│ │■│ │ │■│ │■│ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ C│ │ │ | │ │ │ │ │ ├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼ 盤面7: 案4で禁止される配置の例。
一方、冒頭に出てきたAあX ゴールキーパーは、黒マスがAく、 Bい、Bお、そしてBきの4箇所に発生するため、案4のルールでは禁止となります。
「ゴールキーパー問題」の発生する原因は、促音と長音に関する特別ルールにあります。従って、促音長音の問題の発生しないアルファベットや漢字でプレイすれば、こういった問題は決して発生しません。これは英語とか中国語とかは関係なく、日本語でローマ字表記で行っても良いのですが、長音の表記をどうするか、またヘボン式を使うか日本式を使うかを予め決めておかないと混乱しやすいのが難点です。
この文書では「ゴールキーパー問題」と、その対策について説明をしてきました。「ゴールキーパー問題」は、日本語やカナ文字の持つ独特な性質から生まれたもので、日本語でクロデスをプレイする限り、必ずつきまとう問題でもあります。その対策を考えることは、クロデスだけでなく、クロスワード作成においても興味深い議論を進めてゆけることでしょう。